遊んでいる人が欲しかった

今は求人誌も無料のタウンペーパーのようになってしまい、
カットされた段ボールに入ってスーパーの台の上に置かれているのを見ると、
手に取る気もしなくなりましたが、
私が登録者面談(いわゆる面接のようなもの)を担当していた頃は、
廣済堂の求人情報QJが地元求職者のスタンダードのような雰囲気があり、
当時職を探していた人なら、誰でも一度は手にしたことがあるかもしれません。

各派遣会社はその紙面の全頁や1/2の枠に求人リストを掲載するので、
そこに載った特定の仕事を希望して登録に来る方もそれなりにいました。

ですが採用人数が限られているので、必ず人選作業が発生します。
通常はその会社を担当するコーディネーターがその判断をしますが、
私がいた支店は、その当時(2000年代前半)、
プロバイダーのコールセンターの派遣実績やノウハウがあまりなく、
コーディネーター達自身が、さほどネットに精通しているわけでもなかったので、
現場の派遣スタッフから派遣会社の直接採用になり、
現場のリーダーとして働いていた私が、
私の職場で働きたいという登録者に直接会って、人選作業に関わることになりました。

その頃はまだ、普通の人の応募が多かったので、
私の面談ポイントは、PC&ネットスキルの有無や方向性に的を絞ったものでした。

前にも書きましたが、私の担当は法人部門だったので、
パソコンの電源の入れ方もわからないような人からのお問い合わせは一切なく、
その会社のシステム担当者や、
その会社にシステムを納入しているベンダーさんからのお電話がほとんど。

その人達とやり合えるスキルを一刻も早く身に着けるには、
パソコンやインターネットを、会社の事務職として業務に使っている人ではなく、
パソコンやインターネットを使って何かを実現したいと思っている人や、
実際にそういったことをプライベートで活用している人達のほうが向いていました。

そういった人達のほうが、困ったり悩んだりした経験の数が圧倒的に多く、
その解決の過程で得た知識もスキルも非常に高いので、
サービス仕様や料金体系さえ身に付けば、すぐに使える即戦力になりました。

そのための質問として、
「メールは何を使っていますか?」
「HPは持っていますか?作ったことはありますか?」(当時はブログはなかった)
「ネットで商品を買ったことがりますか?」
「検索は何を使っていますか?」
「2チャンネルを見たことがありますか?」

こんな質問をしていました。
Googleも2チャンネルも、その頃世に出てきたばかりのサービスで、
利用経験があれば、そこそこネットには精通していると思われましたし、
HP作成経験などは、業務的に見てもまさにビンゴのスキルでした。

また、メーラーも「(その頃全盛の)Outlook EXpress」と答えられれば、
それが何らかのソフトウェアであることをなんとなく理解している人だと思いましたし、
ポストペットやBecky!などと答える人は、メーラーが何かを理解したうえで、
わざわざそれを選んで設定をして使っている人なので、文句なしにOK。
ネットショッピングも2チャンネルも、かなり私的な要素ですが、
そのぐらいの関わり方をして楽しんだり遊んだりしている人のほうが、
経験上、相手の困りごともよく理解できるのです。

これらは要するに、PCやインターネットへの関わり方が、
能動的なものか?受動的なものか?という区別かもしれません。
遊んでいるというよりは、遊べる人が欲しかったんですよね。

そのため自分は、基本スキルの確認にはそういった共通の質問をしていましたが、
こういった内容の質問や、それに続く受け答えと話の展開は、
当時のコーディネータ達では、無理だったと思います。(今なら可能ですが)

結果的に、今までのように、
WordやExcleなどのオフィス系資格保持者や、
CAD経験者を適任とみる発想はなくなり、
募集広告にも「HP作成経験者大歓迎」という文言も載るようになりました。

一番いいのは、IT系の出身者と思う方もいるでしょうが、
その人達は、あまりよくありませんでした。

まず、プログラマーはダメ。
かなりの分担制で、決められた狭い範囲で、
そこだけのコードを書くのが仕事なので、
言語を知っている以外は、事務職と同じ。
インターネットにことになると、驚くほど知らない人が多く、
そういうものなのだと痛感し、いい勉強になりました。

それから、SE経験者やIT会社出身者もダメ。
仕事ができて、問題なく勤務できているような人なら、
辞めずにその会社で働き続けているはずなのです。
個人的にはその人達は、
派遣という市場には出てこない感覚を自分は持っていました。

派遣会社にはそういったキャリアの人にふさわしい仕事もありましたが、
そこに行かずに、そこよりも時給低くて夜勤もある、
私の担当会社に応募してくる人は、
「続けられない何らかの原因があって辞めた」と見たほうが、
いいケースが多かったです。

もちろん、例外の方もいらっしゃいました。
親の介護で地元に戻ってきたり、業務再編で転勤を強いられたり、
止むにやまれぬ正当な理由があって退職した人たちですが、
そういうとき、派遣会社は何が何でもその人を押さえに(獲得に)かかります。
けれどそんなケースは、1年に1度、あるかないか、という感じだったと思います。

 

 

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